2世帯住宅
2世帯住宅(二世帯住宅)をプランニングする際のポイントになるのは、親子同居に伴うメリットとデメリットを明確にし、お互いのプライバシーを尊重しあえる環境をどう作っていくかということがあげられます。
1980年からヘーベルハウスの旭化成ホームズ株式会社が二世帯住宅研究所
(http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/nisetai/index.html)を設立しており、そのサイトでは、2世帯住宅にかかわる情報を提供しています。
その二世帯住宅研究所によると、2世帯住宅のプランとして3つのタイプがあげられます。
基本となるのが同居スタイルによって、共有スペースをどれだけ持つかという建物分離度です。
まず、生活空間を完全に2分割し2世帯が独立して暮らす『独立二世帯』、玄関や浴室などの一部設備を共有する『共有二世帯』、多くの生活空間を共有し、それぞれが自立して暮らす『融合二世帯』の3つです。
その建物分離度で、世帯間の距離をどの程度、取るかということは、『どうして同居するのか』を明確にするとよいです。
二世帯住宅研究所が独自に行った調査結果をもとに分析した親子同居のメリットとして、建築資金面での優位性、みんなで暮らすという精神的な充足感、万一の病気の際に助け合えること、知恵と文化を伝承できることをあげています。
対して、気をつけなければいけない点として、食事の味付けや世代間の価値観、生活リズムの違いなどに加え、経済観念の違いなどをあげています。
それらを考慮したうえでの7つの原則(選択の原則、相互尊重の原則、自立の原則、家族間ルール確立の原則、家族協力の原則、扶養分担の原則、社会連帯の原則)と8つの工夫(世帯間の独立を尊重、相手文化の相互理解、お客さんが来やすい環境作り、キーパーソンが潤滑油として機能すること、経費分担の明確化、教育責任を子世帯がしっかり持つこと、行事参加への積極性、親族友好への配慮)が二世帯住宅研究所のサイトに掲載されていますので、参考にしてみるとよいでしょう。
耐震構造・免震構造について
地震王国の日本では、住宅の地震への対策は絶対に必要だといわれています。
しかし、阪神淡路大地震以来、新潟を始めとする大地震の被害はやはり住宅の倒壊で住人が死亡したり、怪我をする事例が大多数を占めています。
ここで注目されるのが耐震構造と免震構造です。
その違いを少し解説します。
まず「耐震構造」はどのようなものか。
これは既存の建築物に用いられる例と、新築に用いられる例が考えられますが、対処方法は同じです。
建築物の強度を上げる、ということです。
具体的には壁の厚さを厚くしたり、補強をしたりします。
また柱や梁を太くして建物全体で地震に対する強度を上げることを目指します。
建物の強度は上がりますが、地震の時、室内の家具などの転倒、壁の亀裂などは防げない事例が多いです。
マンションなどは上階に行くほどゆれが激しくなります。
ただ、費用的には免震構造を比べて安価だといわれています。
次に「免震構造」です。
こちらは建物の基礎と建物との間に緩衝材を入れて、地震の揺れを直接、建物に伝えない構造をいいます。
具体的には基礎と上部構造の間に積層ゴムなど(ゴムと銅版を交互に何層も重ねたもの)を入れたもので、地震の揺れを免震装置で吸収し、建物上部への地震エネルギーの伝わりを抑えます。
こちらは地震の時にはゆっくり揺れ、室内の家具の転倒と壁の亀裂は少ないとされています。
ただ、工事費が高くなるのと定期的な装置取替え工事、定期的な保守点検が必要であり、維持管理費がかかります。
さらに軟弱地盤や液状化する可能性がある敷地には設置できない場合があります。
地震対策としてはこのほかに制震構造というものもあります。
こちらは最近の高層マンションや、一部の住宅建築で取り入れら始めています。
これは建物の内部に弾力や粘りのある資材等で作成されたダンパー等を設置して、地震の揺れやエネルギーを吸収し和らげる仕組みです。
家具の転倒や移動の被害は極めて少ないのがメリットですが、高コストなのがデメリットです。
最後に地震対策として一番気をつけなければならないのは、その住宅が何時建てられたという建築年度です。
これは1981年(昭和56年)に大幅に改正された建築基準法以降に建築されたのか、あるいはそれ以前なのかで耐震性の基準が違うからです。
もちろん1981年(昭和56年)のものは老朽化とともに耐震性でも現状の基準からすれば劣るものが多く、こうした住宅の耐震補強工事は大変大事です。
リノベーションとは
リノベーションとは、住宅の内装や外装、設備などを新しくする『リフォーム』に加え、住宅の性能の向上や価値を高めることに着目した建造物改修工事のことです。
具体的に住宅の機能や性能を高めることと言えば、住宅を長く使うために地震(耐震性)や火災(防火)などの対策を施すことで住宅の耐久性を高めることや、冷暖房に費やすエネルギー節約することや、時代に即した建築機能の向上などがあげられます。
時代に即した住宅としての機能向上という意味で住宅のIT対応もリノベーションのひとつです。
たとえば、各部屋からインターネットに接続できる情報コンセントを設置し、住宅内にLANケーブルを配線するということも住宅のIT化になり、住宅としての機能が向上したといえます。
高齢化社会に伴う老人との生活する住まいとしてのバリアフリーの考えも、時代に即した住宅への価値向上につながるため、部屋間の段差をなくすなどの改修もリノベーションにあたります。
エネルギー節約に関しては、外壁を断熱性が高い素材に変え、冷暖房機具の最適配置を考慮した上での換気設備の更新があげられますが、二酸化炭素(CO2)発生を抑制するオール電化住宅への設備更新もリノベーションといえます。
住宅の外壁を強化するだけでなく、内部のレイアウトを大幅に変更した事例も多く、新築よりもコストを抑えて理想の住宅を作ることができると言われ、テレビやマスコミにも取り上げられることが増え、徐々に需要が増えてきています。
実際にオフィスビルを住宅地に改修した事例もあるため、その可能性は広がるばかりです。
住宅の改修ということで、リフォームと混同することがありますが、基本的にリフォームは、老朽化した住宅を初期の状態に修復することを目的としているため、一般的に小規模な工事を指しています。
それに対して、リノベーションは住宅の機能向上を視野に入れているため、大幅な改修工事になることがほとんどです。